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未就学児のママが【離婚】を考えた時、まずやるべきことは?|①お金の話

人には相談しづらいシリアスな夫婦のこと、経済的な悩み。専門家に相談したいけど、どこに相談したらいいのかわからない。そんな悩みを抱えるママたちに、ベリーベスト法律事務所のママ・パパ弁護士が答える全3回の連載シリーズ。第1回のテーマは「離婚」です。

教えてくれたのは

安達里美

(ベリーベスト法律事務所 弁護士)

 

中学2年生の娘を持つママ弁護士。母子家庭で育った自身の経験から、単なる事件解決だけでなく、親の離婚に直面した子どもの気持ちに寄り添うアドバイスなども行う。離婚問題や不貞慰謝料請求などの男女問題、家族の問題、未払残業請求や解雇無効請求などの労働問題、痴漢や盗撮などの性犯罪を中心とした刑事事件、交通事故事件などを扱う。

●根底に“子育てに対する評価の低さ”も

―どういう方からの相談が多いですか?

離婚についての相談はさまざまなケースがありますが、未就学のお子さんがいらっしゃるママからの相談はとても多いです。上の子が幼稚園で下の子はまだ生まれたばかり、というようなケースは頻繁にありますし、お子さんが5人だったり、まだ妊娠中だったり…と置かれている状況もそれぞれですね。

―小さな子どもがいる相談者の場合、離婚を考えるようになる原因はどのようなことが多いのでしょうか。

離婚の原因もそれぞれですが、一番多いのは性格の不一致で、近年では特にモラハラ(モラルハラスメント)のようなケースが増えています。性格が合わない中で、夫側が妻側に対して言動が荒かったり小馬鹿にしたような発言をしたり。

それと、夫から妻への「子育てに対する評価が低い」というのも離婚の大きな理由のひとつになっています。

 

たとえば、妻が専業主婦でほとんどの家事を担いながら子育てという大変な作業をしているのに、「働いていない」ということに対して夫から馬鹿にされる。パートで働いているケースだと、「パートなら早く帰宅できるんだから」と夫は育児も家事もほとんどしない。夫婦共にフルタイムで働いていて、お互いに収入もそんなに変わらないケースでも、子育ての負担が妻側に一方的に偏っているということも。

ケースはそれぞれですが、結果的に不満を溜め込んでしまい、「この先、この人と一緒に生活していくのはしんどいなぁ」というところがきっかけになっている場合が多いです。

離婚で得られるお金 基本の3つ

―子どもが小さいと、やはり経済的な不安が大きいと思いますが…。

離婚するにあたって、「お金のことが心配」という相談は最も多いです。共働きであっても二馬力が一馬力になりますし、専業主婦で0才児や1才児がいるような方だと、やはり経済的な面が不安でなかなか離婚に踏み切れない…と思う気持ちも分かります。

でも法的な面でいうと、離婚することで得られるお金があります。

 

まず、お子さんを育てている側に対し、お子さんを育てていない側がお子さんの生活費として支払う「養育費」、婚姻中に夫婦で築いた財産を分配する「財産分与」。そして、配偶者の不貞や暴力などに代表されるような法律上「不法行為」と評価される事情があった場合に発生する「慰謝料」があります。他にも、配偶者の扶養に入っていれば「年金分割」というものもありますが、将来的に入るお金なので、離婚後に得られる当面のお金としては、「養育費」「財産分与」「慰謝料」の3つが基本になります。

【養育費】で知っておきたいこと

●養育費はいくらもらえる?

―養育費って意外とそんなにもらえない、と聞いたことがあるのですが、実際はどうなのでしょうか?

そうですね。これもケースバイケースですが、参考までに簡易的に計算できる方法があります(参考サイト:養育費計算ツール)。例えば専業主婦で夫の年収が600万円、お子さんが小学生以下2人のケースだと子ども1人当たり5~6万円程度。若い方だと年収350~400万円が多いので、同じ条件で夫の年収が350万円だとすると子ども1人当たり3~4万円程度なので、2人で6~8万円程度ですね。

―なるほど。ちなみに、子どもが1人でも2人でも、1人当たりの金額は同じなのでしょうか?

いえ、お子さんの数によっても変わってきます。お子さんが増えると、1人当たりの額は減ってくるのが基本ですね。

●養育費は何才まで?親の学歴も関係

―養育費は何才までもらえるものなのでしょうか?

現在、標準では20才と考えられています。

 

ただ大学に進学するのを前提にして、4年制大学を卒業するまで、つまり22才になって最初に迎える3月末まで、と取り決めするケースが多いです。特に両親とも大卒だと、大学まで進学する可能性が高いことから裁判所が22才まで養育費の支払いを認める、というケースはあります。

―親の学歴にもよる、ということですね。例えば、両親とも高卒だと子どもが大学に進学しても考慮されないのでしょうか?
お子さんがまだ小さいと、先のことは分からないですよね。ですので、一旦は20才にしておいて、また決め直すことができるんです。大学に進学したいとなれば、父親に再度相談して養育費の支払いを延長してもらえるように求めていくことになります。もし話し合いがまとまらなければ、離婚時に調停していてもしていなくても養育費の延長や増額について裁判所で調停することも可能です。

―離婚すると、元夫とは連絡を取らないケースも多い気がしますが…。

離婚時に弁護士に依頼すると、協議離婚の場合は離婚条件をまとめた離婚協議書を作成しますし(養育費をもらう側の場合は公正証書にしておくのが原則です。)、調停の場合でも調停調書というものを作成しますが、そこに「養育費のことについては状況に応じて協議しましょう」ということも約束事として記載するように相手に求めていくことになりますので、それに基づき、「状況が変わりましたので、再度お話ししましょう。」とアクセスしていく形になります。
相談者から離婚の数年後に「養育費を増やしてほしいと考えている」という連絡をいただき、代理人として元配偶者に連絡をして交渉することもよくありますね。逆に、離婚後に別の方と再婚し新たに子を授かったので元配偶者に支払っている養育費を減額したいという相談、元配偶者から養育費を減額してほしいと連絡があって困っているという相談もあります。

どちらにしても、養育費は離婚時における経済状況、子どもの人数、今それぞれが置かれた状況を考慮して、いくらなのかを決めます。子どもが小さい時に離婚をすると、20才になるまでの長い期間にさまざまなことがあるので、その都度話し合っていくしかないんですよね。

だからこそ、離婚時に決めるべきことはきちんと決めて、将来的に状況の変化があった場合には改めてその都度協議をすることも、離婚協議書(公正証書)などに残しておくことが重要になってきます。

【財産分与】で知っておきたいこと

●配偶者の利用口座等を把握しておく

―財産分与の際に気をつけたいのはどういうところでしょうか?

財産分与とは、簡単にいえば「結婚してから増えた財産は夫婦で半分に分けましょう」という話なのですが、現実には「そもそも増えた財産とは何をさすのか」の点から争いになることも多いです。分ける対象となりそうな財産が複数ある場合には争いが長引く原因となることも多いです。
ただ、いずれにせよ、どの夫婦においても離婚しようと決めた時点(通常は別居時とされることが多いです)において、預貯金の口座がどの金融機関にあるかなど、まずは財産を把握しておくことが重要です。弁護士も全国の金融機関からご主人の口座を探し当てることはできませんので、口座のある銀行名と支店名、加入している保険の保険会社名くらいは最低限把握しておくことをおすすめします。

●持ち家がネックになることも

―財産分与で揉めるのは、どのような点でしょうか?

婚姻期間が長くなると、現金、預貯金口座、加入している保険の有無やその金額など財産を把握することに時間がかかるケースも多いため、いつまでも話がまとまらないことは多いです。ただ若い夫婦の場合だと婚姻期間が短く、そもそも財産が多くないので、比較的早くまとまることが多いです。
ただひとつ、住宅を購入していてローンが残っていると、仮に売っても借金(ローン)は残るし、かといってどちらかが今後1人で住宅ローン全額を支払う余裕はない、などの理由で揉めるケースは多いですね。特にペアローンの場合は注意が必要です。

【慰謝料】の相場はどのくらい?

―相手(配偶者)の不貞で別れるケースも少なくないと思うのですが、その場合の慰謝料は通常どれくらいなのでしょうか?

例えば夫が不倫をして、こちら(妻)が証拠を持っていると、慰謝料がかなりの確率で認められるので、ある程度まとまった金額をもらえます。夫だけでなく、不倫相手からも取れる場合もあり、金額としてはどちらも含めておおよそ50万円から高ければ300万円くらい。きちんとした証拠があって、相手(夫や不倫相手)にも支払う能力があれば、200万円くらいもらえるケースも少なくありません。

「養育費をもらわない」のはあり?

―逆に妻側から「自分が育てるから養育費も慰謝料もいらない!」と離婚する方もいますよね。養育費をもらうことを経済的に依存していると捉える人もいるようです。

仮に母親の収入の方が多く、父親からは微々たる額しかもらえないとしても、養育費は子どものためのものですし、子どもの可能性を拡げるためのものでもあります。もちろんDVなどで元夫に関わらない方がいい場合はありますが、そのような特別な理由がない場合は、たとえ少額でもしっかり取り決めた方がいいと思います。

別々に暮らすお父さんから毎月養育費が支払われるということは、「ちゃんと愛されているんだよ」という証でもあると思うんです。子どもにとってはお父さんからの愛情を実感できることなので、ぜひ子ども目線で考えてほしいですし、自信を持って請求してほしいと思います。

ベリーベスト法律事務所

https://www.vbest.jp/
東京オフィス(〒106-0032東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階)ほか、全国73拠点で相談可能です。

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