パークサイド こころの発達クリニック
原田 剛志院長
発達障がい―その言葉を聞いたことはあっても、きちんと理解しているママは少ないのではないでしょうか?
人には聞きにくい、けれど知っておきたい。そんなテーマに、今回は真正面から取り組みます。
発達障がいとは、ある部分における発達がゆっくりすぎて年齢に追いついていなかったり、一定の年齢で止まっていたりすることを言います。どんな人でも発達の凸凹(得意や不得意)はありますが、発達障がいの子は、その度合いが極端で、社会適応に困難が生じてしまいます。特性によってASD、AD HD、LD、DCDなどと分類されますが、重複することも多く見られます。
例を挙げると、「お醤油ある?」と聞かれた時に、ASD特性の強い子は、手元にあっても「あるよ」と答えるだけ…などの行動を取りがちです。そこで、こう聞かれたら「お醤油を渡すことが社会的に適切」ということを教えていくことで、社会に出たときにトラブルにならないように対策を取ります。
今は健診などで、早期の相談をすすめられることが増えています。それは社会的な「不適応」を放っておくと①場にそぐわない行動で、本人の社会的不利を招く②叱責などから不登校やパニック障がい、チックなどの2次障がいがでる③養育者側のメンタルヘルスに影響する、などの様々な問題が起きることが知られてきたからです。
早目に対策を打つことで、それらは最小限にしていけます。実際大人になってから診断を受けて、「子どもの時に知っていたらもっと学べることがあったのに…」「傷つかずにすんだのに…」とおっしゃる方は多いのです。
「不適応」に見える行動も、その原因が分かれば、親も楽になることがあります。早期の相談・対策で子どもの可能性は広がります。専門家の力を借りて、その子に合わせた対処法を探していきましょう。
原田 剛志院長
自閉スペクトラム症。以前は、広汎性発達障がいやアスペルガー症、高機能自閉症と呼ばれていたもの。早ければ1才半~3才頃に診断される
どちらも、「想像することができない」ために起こります。「見えないもの(裏の意図)が分からない」「相手の意図が読めない」と、(1)は難しくなりますし、知っている範囲内で安心しようとして(2)に繋がります。
(1)の例
「お風呂を見てきて」という言葉とセットになっている意味(=いっぱいだったら止めてね)までを含めてイメージすることが難しく、言葉を字義どおりに捉えてしまいます。
3才くらいで同じことをした場合は「かわいい」で済みますが、小学生がすると「何で?」となりますね。セットになっている意味を最初に伝えることで、解決することがあります。
不注意・多動・衝動性が目立つが、幼少期はASDでも似たような行動をするため、原因を特定しにくい。年長~小学校くらいで診断されることが多い
どちらか、あるいは両方がうまくいっていないことが原因で、不注意・多動・衝動性になっています。
知的発達に遅れはないものの、読み書き・計算などの特定の分野の習得に困難がある。小学校入学後に診断されることが多い
身体の機能に問題があるわけではないのに、脳との統合がうまくいっていないために複雑な動きができない。
粗大・微細の両方が苦手な子もいれば、どちらかだけの子も
粗大運動が困難…ダンスができない・自転車にのれないなど
微細運動が困難…ボタンがはめられない・ちょうちょ結びができないなど
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