岡山県・奈義町の少子化対策とは?
- 2018/6/14
- 子育て・家族
町ぐるみで子育てを応援
岡山市から車で2時間、人口6,100人が暮らす山間にある小さな町、奈義町。高齢化率が3割を超えたこの町ですが、2014年に日本トップクラスの合計特殊出生率2.81を記録、その後も高い出生率を保ち続けています。日本の出生率が1.44(2017年)ということを考えると、この数字は驚異的。その秘密を知るべく、視察に行ってきました。
2002年に住民投票で「合併しない」ことを決めた同町では、進む人口減少に危機感を持ち、歯止めをかけるために定住促進の政策に取り組みました。その一つに、「奈義町子育て応援宣言」があります。「子育てするならここで!」と官民一体となって取り組んだ政策で、出産前から高校卒業まで切れ目のない支援が特徴。2人目、3人目も産み育てやすい手厚いものとなっています。(表1)
それに加えて、町は以前から、「世代を超えた地域全体での子育て」に率先して取り組んできました。例えば、2007年に設立された地域ぐるみで運営する子育ての場「なぎチャイルドホーム」。平日9時から開放しており、毎日子ども達のはしゃぐ声と地域の大人たちの笑顔であふれています。誰でも気軽に利用でき、「病院に行きたい」などの事情に応じて一時預かりもしてくれるので、新米ママでも安心して子育てできる環境です。
働きやすい環境も整備
また、町はママの働く環境の整備にも積極的です。例えば、仕事を外注したい事業所と、空き時間に仕事をしたい町民をつなぐ「しごとコンビニ」。登録すると仕事情報が届き、都合が合えば単発での仕事ができます。運営する「まちの人事部」では、スキルアップのためのパソコン塾なども無料で開催。さらに、都会の仕事を地方でもできるようにテレワーク事業も始めました。東京からIターンした、2人の子どもを持つ諏訪さんは「1日4時間、週4日くらいで働いています。経済的にも不安はありません。自分のペースでできるし、これからも続けたい」と話します。
町では、現場のニーズを行政がいち早くキャッチし、民間と一緒になって計画を立て、民間組織で実行しています。実際に足を踏み入れて感じたのは、スピード感のある官民の連携と、新しいことをポジティブに受け入れる現場の空気。町民の、町を守りたいという気持ちが様々な取り組みの核となり、この出生率に結びついているのではないでしょうか。