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子どもを創造的(クリエイティブ )に育てるためのデジタルツールの使い方【2】

~音のプログラミング~

アメリカで開催された世界最大の楽器見本市、「The 2018 NAMM Show」に行ってきました。見本市(トレードショー)は、世界中の楽器メーカーが、今一番の商品を展示して、来場者に体験してもらうイベントです。NAMM Showは楽器の見本市なので、日本からもヤマハやローランド、パイオニアなど、皆さんご存じの楽器メーカーがこぞって参加する、年に一度のお祭りなのです。

そんなお祭りに、KAGURAという新しい楽器の展示をするべく、参加してきました。KAGURAとは、私達が開発した体を動かすだけで簡単に音楽が演奏できるパソコン用のアプリです。

NAMM Showには毎年たくさんの音楽関係者が来場していろんな意見をもらえるのですが、今年一番印象に残ったのがKAGURAを子どもたちの音楽教育に使いたい、という音楽の先生の話でした。

その先生は、ブルースの先生。

子どもたちに、体で音楽を楽しんで欲しいといつも思っていて、そのための良いツールがないか探しに来ていたそうです。いままでの音楽の教育の方法では音楽が嫌いになってしまう子が出てしまう。だからまず、単純なリズムを踊って鳴らすところから始めれば、より多くの子どもが音楽を生み出すことが好きになってくれるのではないか。そのためにこのKAGURAが最適なんじゃないか、と。

そもそもKAGURAは、僕自身が楽器が弾けないので、自分でも演奏できる楽器が欲しくて開発したもの。楽器が弾けない人でも弾けるようになるようにできているのです。

音楽には「リズム」「メロディー」「ハーモニー」という3つの要素があります。その中で、もっとも基本的な要素がリズム。リズムさえ刻まれていれば、どんな音でも音楽になってしまうといっても過言ではありません。

子どもの頃、お茶碗を箸でたたいて音を鳴らして怒られたりしませんでしたか? 同じ音を繰り返し鳴らすことが、音楽の始まりだと言われています。でたらめに鳴らしていたところから同じ間隔で鳴らせるようになると、リズムが生まれます。

等間隔で同じ音を鳴らしながら、その間に別の音を挟んで変化をつける。それがドラムの基本なわけですが、実は、ずっと同じリズムを維持し続けることが得意なのがコンピュータなんですね。皆さんが普段耳にしている音楽の多くは、ドラムマシンで正確に刻まれたリズムを元に作られています。

リズムを正確に刻むところはコンピュータに、ここで鳴らそうかな、こんな風に鳴らしたら気持ちいいかな、という感覚的なところは人間に、というように得意なことを役割分担することで、簡単に演奏ができるようにしているのがKAGURAの特徴なのです。

そんなわけで、帰国早々KAGURAを使ったワークショップを開催しました。「音」をどんなタイミングで鳴らすとどんな音楽が生まれるのかをトライアンドエラーを繰り返しながら作り上げていくことは、論理的でいて感覚的。音楽はまさに音のプログラミングなのです。

ワークショップには、小学1年生から3年生の子どもたちが参加しました。最初の30分くらいは使い方などを一緒に試しながら学習します。そして残りの1時間あまりが自由制作時間。KAGURAでは、用意された楽器の音だけではなくその場で自分の声を録音することもできるので、多くの子が自分の声を音源にして楽器を作っていました。

果たして2時間後。

決して子ども用に作られたわけではないアプリでしたが、みんな見事に使いこなし、それぞれの作品を作り上げました。中には教えてもらってない機能まで使う子もいて、スタッフがびっくりするような作品がたくさん生まれました。そして、みんなの前で誇らしげに演奏をしてくれた子も。帰り道に、うちに帰って続きがやりたい、とお父さんに相談してくれた子もいたそうです。音楽作るのって楽しいね、って。

勉強も運動も音楽も、もちろん訓練が必要です。でも、できるようになるにはまず苦しくても頑張って努力しなさい、するからには将来役に立てなさい、という強迫観念が、子どもたちの成長の目を潰してしまうことになっているのではないでしょうか。

まずは楽しむこと。そしてさらに楽しむこと。その瞬間をどれだけ楽しめるかが、結果として創造性を育むことに繋がります。大人ができることは、チャンスとツールを与えて後は手を出さないでじっと見守ってあげることだけなのです。いろいろ教えてあげたくなるけど、ぐっと我慢。

今回のワークショップでも、子どもたちはひたすら楽しんでいただけに見えましたが、実は知らないうちに論理的な音楽の作り方~音のプログラミング~を学んでいたんですね。

みなさんも、是非、いつも聴いている音楽を「どんな音のどんな繰り返しでリズムをつくっているんだろう?」と考えながら聴いてみてください。音楽の楽しみ方が広がりますよ!

株式会社しくみデザイン 代表
クリエイティブ教育ラボ 所長
中村俊介

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