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「発刊2年はクレームの嵐でした」大ヒット絵本『給食番長』作者よしながこうたくさんインタビュー

よしながこうたく

「ずっと、子どもの味方であり続けたい」

2007年、絵本業界に衝撃が走りました。わんぱく小学校1年2組の児童たちと給食のおばちゃんたちによる熾烈な給食抗争を描いた『給食番長』の登場です。

 

当時は絵本らしくない絵や内容に賛否があったものの、子どもたちから圧倒的な支持を得て後にシリーズ化。

 

その著者、よしながこうたくさんに子どもの頃の思い出や制作秘話などたっぷりお話を聞いてきました。

よしながこうたく

想像を形にするために絵を描いた少年時代

家ではあまり喋らない子どもでした。ガキ大将の兄貴から虐げられて生きていたから大人しかったな(笑)。


虫や動物が好きで、外ではみんなとスポーツするよりも隅っこで一人虫を探してスケッチしていました。他には怪獣と妖怪も好きで、特にウルトラマンの怪獣が大好き。テレビ番組で毎週違うキャラクターが出るたびに「うわぁ、すげー!」と驚き、冒頭からどんな展開になるのか想像して…の繰り返し。でも想像だけじゃ実際のサイズ感が分からない。だから描いて確認するためにいつも絵を描いていました。


その頃の将来の夢は、絵描きさん、怪獣映画の監督、プラモデル屋さん。一番は怪獣映画を作りたかったけど、映画『ジュラシックパーク』の出現で僕の妄想が晴れ、「もういいや!」となり、絵の方に進みました。


前代未聞の絵本、誕生秘話

高校からデザインをしっかり勉強して大学に進学し、卒業後は「東京で一等賞とってきますわ」ってノリで上京。でもイラストレーターをやっていたけどまったく売れず…。


そんな時に知り合いから「絵本を読んだことなくて、誰にも似ていない絵を描く人を探している出版社がある」と紹介され、とりあえず担当者に会ってこれまでの作品を見せたらどれも使えないって言われちゃって(笑)。その中で唯一目に留まったのが給食食器セットのパッケージの仕事で、それが『給食番長』に繋がったんです。


 タイトルが決まって下書きを描いている途中、実家の都合で福岡へ戻ることに。その時に描いてたのは、番長がみんなを食べちゃう超ホラーもの。売れると思ってないし、一冊出せればいいや!って感じだったから自由に描きました。

「これは『給食番長』の下絵。子どもに見せたらめちゃくちゃ人気で(笑)。ラストは焼かれて割れて中からちっちゃい番長が出てくるんですよ」

それが本描きする直前に全ボツ。「こんなの売れるわけないでしょ!」って担当さんに怒られました(笑)。それからは真面目に近所の小学校に取材にも行き、やっと出版まで漕ぎつけたらすぐに売れて!増刷も決定したんですよ。


でも出版して2年くらいはクレームの嵐。親御さんから「子どもをナメてるんですか」「子ども向けじゃないですよね」とか言われ、絵本専門店からは突き返されたことも。大人の勝手で子どもから面白いものを取り上げる現実を目の当たりにしました。だから僕は「子どもの味方でいよう」と決めて、子どもたちのためだけに、という思いで絵本作家を続けています。

よしながこうたく
デビュー作の『給食番長』と、妖怪の殿様・ガマとの大活躍する『ようかいガマとのシリーズ』

『給食番長』がきっかけで全国各地に呼んでもらえるようになりました。最初の頃は何を話していいのか分からず、開始3分で全員帰っちゃった事件や、誰もいないサイン会など辛い目にあって猛反省。慣れてきた3年目に以前取材した小学校へ行くと、ある少年から「あなたが欲を出すと必ず売れなくなります」と神のお告げのような言葉を頂くという不思議な体験もあったな(笑)。


子ども目線で子どもが主役

子ども向けの本には夢とロマンが大切だと考えています。子どもが主役で不思議な怪事件が起こる本を読んで、自分の周りで本当に起きたらどうしようって思えるような。


『給食番長』にもちっちゃいキャラクターを仕込んでいて、机の下にこんなのがいたらどんな感じかなって想像が膨らむ工夫をしています。僕も子どもの頃に「怪獣がうちに来たらどうしよう」なんて空想していたから、それを今の子どもたちにも味わってほしいんです。


子どもと一緒に空想を楽しんでほしい

お母さんには子どもの空想に付き合ってほしいですね。コロナ禍で一人の時間も増えていますが、この時期にどう遊ぶかで将来が変わると思います。何かを確立した子が大人になった時、きっとすごい物を発明してくれるんじゃないかな。


ゲームやスマホばかりやっている場合じゃなくて手を動かす!そして感性を育てる!情報を受けているばかりだと、自分から発信できないから、想像する力も育ちません。


例えば、同じ素材を見て「ママはこう見えるけど〇〇はどう見える?」など意見を言い合うような空想力対決とか。部屋にいながら少ない資源で、いかに大きくモノを作れるかを一緒にやってあげてほしいな。

よしながこうたく
ビブリオにやってきた小学生と気さくに会話する場面も。「おいちゃんが宿題やっちゃろーか?」「自分でするもーん」

     \ 新作絵本が発刊 !! /    

妖怪ずかん
※表紙画像は仮のものです」
『会えるかも!? 妖怪ずかん』

あかね書房
よしながこうたく・ようかいガマとの 著

11月発売予定

1,500円(税別)

今の世界に妖怪たちが姿をあらわしたら!? その原因に注目して、妖怪の特徴を文と絵で解説する現代風妖怪図鑑。案内役は、妖怪の殿様“ガマとの”だ。
PROFILE

絵本作家 /よしながこうたく


1979年生まれ。福岡市在住。18才から作家活動をはじめ、イラストレーターとして国内外の仕事を手がける。27才で制作した初の絵本『給食番長』が人気となりシリーズ化。他に『ようかいガマとのシリーズ』『ぼくだってウルトラマンシリーズ』など。現在は日本各地で「読み聞かせ&ライブイベント」も開催中。

【取材協力】

絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオキッズ
1万5千冊を超える絵本や図鑑を自由に楽しめる、親子のための図書館。

住所/福岡市南区大橋3-2-1大橋プラザ2F

電話/092-557-3272 開館時間/9:00〜18:00 休み/火曜・祝日

※利用には初回のみ会員登録(1世帯500円)が必要

取材・文/井みどり 撮影/武田洋輔

取材協力/ビブリオキッズ

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