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産後うつはママだけじゃない?パパのメンタルクライシス

近年、パパにも“産後のうつ状態”があると言われており、「パタニティブルー」とも呼ばれています。産後のメンタルヘルスの変化はママだけの問題ではありません。妊産婦や父親のメンタルヘルス、父親の家事・育児に関する研究を手掛ける竹原健二先生にに詳しく聞きました。

パパもプレッシャーを抱えています

「イクメン」の言葉と共に、この10年で家庭におけるパパへの期待が大きくなりました。家事や育児に積極的に関わり、ママへのサポートが期待される一方で、疲弊しているパパも時折見受けられます。仕事から帰宅後や休日も家事育児を行うなどの時間的な多忙さに加え、子どもの夜泣き、家事についてのお互いの不満など、様々な負担が総合した結果と言えます。

笑顔で子育てできる環境を作ろう

産後はパパにとっても大変な時期です。ママを支えるはずのパパが倒れると、ママの負担はさらに増えて悪循環に。社会的に産後のママへのサポートが様々あるのに対し、パパへのサポートはほとんどないため、早急な対策が求められます。


また「仕事をする=家庭を守る」と考える男性は多く、育休や時短勤務などでキャリアへの影響を心配する声も少なくありません。職場の子育てに対する理解も含めて、「家事育児を共に行う人(パパ)を支援する環境」を整えることが重要です。


一番大切なのは、大変な子育ての時期を、家族で楽しく前向きに過ごすこと。もしパパの様子がおかしいと感じたら、夫婦で一緒に休んだり、早めに保健センターや心療内科などに相談することも考えてみましょう。

妻の出産後、パパたちの心境の変化(体験談)

パパシー

パパシーさん(仮名)35才

 

2才、5才、8才のパパ
育休:3人とも取得

「何をやっても泣き止まず役に立てない無力感」

Q.子どもが生まれる前は?

妊娠してから妻が体調を崩しがちになり、母子共に健康なまま無事出産を終えられるかずっと不安でした。また、自分が子どもに愛情を持てるのか、ネグレクトにならないかと心配でした。

Q.実際に生まれてどうでしたか?

妻の入浴中など、毎回何をやっても大泣きされ、何も役に立てない無力感でいっぱいでした。オムツ、ミルク、寝かしつけ…で毎日が過ぎ、ママの大変さを理解すると同時に、かなりの焦燥感に襲われました。

Q.どうやって解決しましたか?

祖父母の家や子どもプラザなどに出かけた際、我が子が自分から離れない姿を見て、信頼されていることを実感して自信が持てました。また先輩パパたちも同じような経験をしていることを知り安心しました。

Q.同じ悩みを持つパパに伝えるとしたら?

子どもと一緒に外に出て、多くの人と触れ合うことで、悩みや不安が軽くなると思います。
ベクトリュー

ベクトリューさん(仮名) 37才

 

0才、2才、5才のパパ

育休:3人目で初めて取得

「必死にやっても"私のことを考えていない"と言われ…(涙)」

Q.子どもが生まれる前は?

3人目で初めて育休を取ったため、家事や育児が自分にできるか不安でした。特に不得意な料理が一番心配でした。

Q.実際に生まれてどうでしたか?

退院翌日に家族分のご飯を作ったら、量が足りずに結局妻がキッチンに立つことに。そこからは料理のことで頭がいっぱいでした。すると「料理のことばかりで、私のことを考えていない!アドバイスも聞いてくれない」と言われました。

Q.どんな気持ちでしたか?

妻から言われるがままに動くだけだと、自分の存在価値がなくなる気がして。妻は「家事スキルがないのだから言われた通りにすればいい」と思っているようでした。ようやくペースが掴めたと思えば、また「私のことを考えてない」と言われ、心が苦しくなりました。

Q.どうやって解決しましたか?

言いたいことがあっても、産後でボロボロの妻に言えるはずがなく。でも次第に上の子と一緒に過ごす時間が増えたので、妻の育児の負担が少し減って自然と解決しました。

Q.同じ悩みを持つパパに伝えるとしたら?

我慢せずに「言う時は言う」こと。そして「育児休暇」か「家事休暇」か、どちらを取るのかを考えること。あやふやなままだと、夫婦間の「育休」の捉え方が異なり、すれ違っていきます。

夫婦で大切な子育て期を乗り越えるには?

家事の考え方を変える

まずは夫婦お互い楽になるよう、アイロンがけをしない、洗濯物は畳まない、食洗機やお掃除ロボットを購入するなど、無理なく家事ができることを優先する話し合いをしましょう。

『 家事への固定概念を捨てる 

家事育児は“やれる方がやる”

家事育児の役割分担を決めると、もしできなかった場合、マイナスの感情を抱くことに。お互いに「やってもらったら感謝の気持ちを伝える」ようにすると、気持ちよく過ごせるかもしれません。

『 相手への “ありがとう”を忘れずに 

リモートワークを上手に活用

コロナ禍の影響でリモートワークが増えました。パパが休憩中に、お昼寝している子どもを預けてママが買い物に行くなど、メリットもありそうです。また通勤時間分を有効活用すれば、効率よく夫婦で家事育児が行えます。

『 働き方が選択できるなら、
  子育て中はリモートが◎ 

竹原先生よパパママへメッセージ

ママへ

『 パパにとっても大変な時期。
  ほかのパパと比べないで! 

ママが大変なのはもちろんですが、パパになったプレッシャーや責任のある仕事など、見えないところで実はパパも負担を背負っています。何もしないパパは論外ですが、パパのやった家事が自分のやり方と違うからといって、怒ったり、違いを指摘したり、また、ほかのパパと比べて非難したりすると、パパはやりにくくなります。お互いねぎらいあって乗り越えてください。

パパへ

『 できる限り時間を作って、

     子どもと過ごす“今”を大切に 

幼少期は親子関係を構築するだけでなく、ママとの絆を強くする大切な時期。できるだけ時間を作って家事・育児に関わってみましょう。この時期を逃すと、将来家族の中で孤立してしまうかもしれません。また、自分がやった家事・育児に対してママに見返りを求めがちですが、ママに対しても同様に感謝しているか振り返ってみましょう。

政府もパパの支援に向けて法改正

政府は令和3年「成育基本法の基本的な方針」を閣議決定しました。父親の産後のうつ状態についても課題となり、出産・育児に関する相談支援は父親も対象とすることが必要と明記されています。国も子育てしやすい社会の実現に向けて、積極的に取り組んでいます。

お話を聞いたのは

竹原健二先生

竹原健二先生

 

プロフィール

筑波大学大学院博士課程修了。母子保健および国際保健の疫学・公衆衛生が専門。 妊産婦及びそのパートナーである父親のメンタルヘルスや、父親の家事・育児に関する研究を複数手がける。現在、厚生労働省の父親支援に関する研究班代表。3児のパパ。

取材・文/佐藤理奈

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