まずは、ランドセルにまつわるトピックからお伝えします。
最近、気になる報道を目にしました。岐阜県のとある小学校が「ランドセルは 暑くなるから暑い夏は使わなくてもいい」という方針を打ち出したそうなのです。校長先生は「歩いているうちに背中が蒸れてしまう」とおっしゃったそうです。もし本当なら、私たち作り手にとっては一大事です。
これはきちんと調査しなければと思い、熱工学の権威である愛知工業大学・牧野敦教授に依頼し、名古屋市工業研究所でサーモグラフィによる実験を行いました。牛革ランドセル、人工皮革ランドセル、通学用リュック、一般的なリュックの4つを揃え、全てに2kgの重りを入れて、小学生に背負ってもらい、室内で15分歩いた後の体温を測定したのです。
そこで出た結果は一目瞭然でした。背中の温度上昇が少なかったのは牛革や人工皮革の学習院型ランドセルで、他のものよりむしろ涼しいといえることが分かったのです(詳しい報告は、ランドセル工業会のホームページに掲載しています)。
教育関係者やメディアの方が「ランドセルは暑い」という根拠のない情報を流したことはとても残念ですが、この調査はランドセルの素晴らしさを示してくれました。私は、改めてランドセルを誇りに感じています。