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【特別インタビュー】6年間を共に歩むパートナーとして 〜作り手が語るランドセルへの思い〜

[ お話をきいたのは ]

一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会

        はやし くによ

林 州代 会長

ランドセルが暑いって本当?調べて分かった驚きの事実

まずは、ランドセルにまつわるトピックからお伝えします。

 

最近、気になる報道を目にしました。岐阜県のとある小学校が「ランドセルは 暑くなるから暑い夏は使わなくてもいい」という方針を打ち出したそうなのです。校長先生は「歩いているうちに背中が蒸れてしまう」とおっしゃったそうです。もし本当なら、私たち作り手にとっては一大事です。

 

これはきちんと調査しなければと思い、熱工学の権威である愛知工業大学・牧野敦教授に依頼し、名古屋市工業研究所でサーモグラフィによる実験を行いました。牛革ランドセル、人工皮革ランドセル、通学用リュック、一般的なリュックの4つを揃え、全てに2kgの重りを入れて、小学生に背負ってもらい、室内で15分歩いた後の体温を測定したのです。

 

そこで出た結果は一目瞭然でした。背中の温度上昇が少なかったのは牛革や人工皮革の学習院型ランドセルで、他のものよりむしろ涼しいといえることが分かったのです(詳しい報告は、ランドセル工業会のホームページに掲載しています)。

 

教育関係者やメディアの方が「ランドセルは暑い」という根拠のない情報を流したことはとても残念ですが、この調査はランドセルの素晴らしさを示してくれました。私は、改めてランドセルを誇りに感じています。

徹底したこだわりと改善が子どもたちに優しいランドセルを生む

現在のランドセルは、ほとんどの商品において背中に直接あたる部分に立体加工を施し、空気が抜けるような工夫をしています。しかも、箱型なので空気の層で暑さ・寒さを和らげることもできます。断熱用の複層ガラスと同じ原理です。もちろんこうした性能を活かすための素材選びにも手を抜きません。

 

また、ランドセルは非常に軽く作られています。購入時にショールームなどで「私も背負ってみたい」と試される親御さんも多くいらっしゃいますが、口をそろえて「本当に軽くて背負いやすい」と言われます。これらは全て、ランドセルづくりに関わる人々の思いが成せる業なのです。

 

ランドセルは、明治20年に誕生しました。それから135年間にわたって続いてきた日本の文化です。なぜこんなに長く通学鞄として支持されてきたのかというと、同じものを作り続けるのではなく、年々進化をさせ続けてきたからです。基本スタイルは同じですが、素材・機能・デザイン・安全面など全てが毎年アップデートされています。子どもたちのために、軽く、強く、背負いやすく、そしてオシャレなものを… そうした技術と思いが凝縮されているのがランドセルなのです。そして、前述の「暑さ・寒さから子どもを守る」ということも含め、下記のように多くの優れた点を持ちあわせながら、子どもたちの小学校生活のパートナーを務めてくれます。

ランドセルの優れた点

これらに加えてもう一つ、ランドセルには「小学生のシンボル」という大切な役割があります。小学校に入学するまで、子どもたちは登下校する小学生を見ながら、ランドセルに憧れを抱きます。そして迎えるラン活で「自分だけのランドセル」を手にするのです。ラン活はそうした子どもの成長を垣間見ることができるセレモニー。お子さまの好みを聞きながら一緒に選ぶこと自体が一生の思い出になります。また、お子さまには「自分で選んだ」という意識が芽生え、モノを大切に使うという教育にもつながっていきます。

 

お子さまが生まれてから6年目に迎える小学校への入学。そしてそこから始まる6年間の小学校生活を支えるランドセルを、ぜひ親子一緒に楽しみながら探してください。全37社からなる私たち「ランドセル工業会」も、皆さんのラン活を全力で応援します。そしてお気に入りの一品と出会えたら、ぜひ親御さんも手に取ってみて、できれば一度背負っていただいて、そこに込められた作り手の思いを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

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