衝撃の告白。実は私は父の本をほとんど読んでいないのです!多分、大事な本だから子どもには触らせなかったんだと思います。そして、スペースが狭かったもう一つの原因は、クラシック音楽が好きな父が(これもかなり無理をして)購入したゴージャスな家具調のステレオ。これにも子どもの頃は一切触ることができませんでした。
「環境は子どもの成長に大きな影響を及ぼす」と言いますが、私の場合は、”環境はあるけどちゃんと触れてはいない“。非常に微妙な状態だったわけです。
「でも、環境はやっぱり大事」。
その後の私の人生を考えると、本好きになり、言語学を専攻し、国語を教え、言葉を使って音楽にまつわる仕事をしている。
周りには本や音楽が溢れ、そこから親の熱量も伝わるけれど、「はいどうぞ」と与えてはくれない。そんな環境で育ったからこそ、自分で求めなければ、と感じていたのかもしれません。父の口癖は、「何でもいいから熱中できることを持て」でした。無意識に私の中にこの言葉が染み込んでいたんでしょうね。