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夫婦仲が悪化する「産後クライシス」どうすれば上手くいく?①専門家Q&A

子ども中心の生活になる産後は、夫婦の関係性にも変化が生じる時期です。どうすればよい関係でいられるのでしょうか?

 

読者ママたちがパパに抱くリアルなモヤモヤを、NPO法人子育て学協会会長でパパ講座も行う山本直美さんにぶつけてみました。

 

夫婦の形はそれぞれなので答えに正解はありませんが、きっとヒントはあるはずです。

※リトル・ママ2021年6月実施アンケートより質問を抜粋

 

家事を自発的にやってほしい!

Q.夫が家事を自発的にしてくれません。「手伝っている」というスタンスで、言われた家事しかしないし、やっても結局中途半端なので私がやり直すことも…。伝えても直らないし、時に逆ギレれされます。

A. ママからすれば「これくらいできるでしょ?」ということも、パパにとっては初めてのことかも。誰にでも得意・不得意はあるので、何をするかパパに選んでもらいましょう。洗濯ひとつにしても、全工程を一度に任せると失敗して自信をなくしてしまうので、「洗濯機を回す」「干す」「取り込む」「畳む」と細かく分けること。失敗させず、成功体験を積むことでどんどんやる気が湧いてくるものなんです。

山本さん

 

女性の脳は9才で完成するのに対して男性は50才まで未完成なのだとか(※)。パパが察知能力に欠けているのはまだ成長途中だから。そう思えば諦めもつくかも(笑)。

※『男と女はすれ違う!』(黒川 伊保子/ポプラ社)より

私にも自由時間がほしい

Q. 抜きで子ども達を連れ出してくれることがあまりないのですが、私だってフルタイムで働いているので、休日は休みたいし、自由時間がほしいです。

A. 仕事も育児も家事も…、ママは大変ですよね。パパに察してほしいところですが、夫婦って結局は他人同士。「ここだけはお願い」とパパに伝えてみましょう。言葉できちんと伝えれば、意外とすんなりやってくれるもの。“パパは何もしてくれない”のではなく、“ママの気持ちをわかっていない、知らないだけ”なんです。

山本さん

 
「なんで私にも休みがないの?」と急に怖い顔で言われると、男性は思考が停止するので、「笑顔でいたいから時間ちょうだい」と優しい言い方を心がけて!

休みの日くらい…

Q. 専業主婦で、幼稚園の送り迎えなど全て私が担当しています。夫が平日休みの時くらいはしてほしいと頼んだら、嫌な顔をされました。主婦は24時間年中無休なのに…。

A. 家事・育児の全部をやるのが専業主婦だと思っているパパと、そうは思わないママ。専業主婦の概念が夫婦で一致していないケースはとても多いです。「専業主婦ってどんなイメージ?」とパパに聞いてみましょう。美容院やエステ、友達とのランチにも行きたいなど、パパに伝えておけば、理解してくれるのでは?パパだって急に押し付けられると、嫌な気分になってしまうもの。自分だけの時間を作ることの大切さを夫婦で日頃から確認しておきましょう。

山本さん

 
伝え方がきついと、嫌な返答を引き出してしまうので要注意。でもどんなに忙しくても、ママもパパも自分の時間を持つことを大切にして!

ただ共感してほしいだけなのに

Q. 育児と仕事に疲れて愚痴をこぼすと、夫は理路整然と解決策を見出そうとします。男女の違いかもしれないけど、私はただ共感してほしいだけなのに…。

A. 話す前に、「解決したいのではなく、聞いてもらえるだけでいい」と伝えましょう。話を聞いてもらえるだけでスッキリする、という感覚は男性にはあまりないので理解してもらえません。パパがあれこれ言うのは、「悩んでいるならなんとか解決してあげたい」という正義感から。最初のひと言があれば、パパの受け答えも変わってくるかも。

コミュニケーション

お世話中や食事中のスマホ

Q. 夫は、子どもと遊んでいる時や食事中もスマホを見ていることがあります。どうすればスマホを見ることをやめさせられますか?

A. 食事中にテレビを観る環境で育ってきたパパなら罪悪感がないことも多いので、子どもたちが成長して「パパだってスマホ見てるし」と言われないように、食事中はスマホを見るのをやめようね、などと話しておくといいでしょう。また、仕事の用事なら、「ちょっと緊急だから見てもいい?」とひと言添えてもらうようにしてみましょう。

山本さん

 
子どもは、「ごはん」「お風呂」「寝る前」にリラックスするので、この時に本音を話したりします。大切な時間はスマホは見ないと決めておくこと。

夜泣きしても寝ている夫

Q. すぐに寝てしまう旦那。寝かしつけで、子どもよりも先に寝る姿を見るとイラッとするし、子どもの夜泣きにも全く気づかないのが不思議すぎて理解できません。

A. 眠ってしまうのは自律神経の問題なので、パパが努力したとしても、改善するのは難しい場合が多いです。ここは諦めて、寝かしつけはママ、パパには他のことを担当してもらった方が効率的かも。ただし、子どもが病気の時などは、パパを叩き起こしてでも2人で看る、というようにあらかじめ決めておくこと。

 

教育方針の違い

Q. 「元気に育ってくれさえすればいい」という夫と、「子どもには苦労させたくないから、早期教育を」という私。この考え方の違い、どう落とし所を見つけたらいい?

A. それぞれに育ってきたプロセスが違うし、それがアイデンティティになっているから、教育観はかみ合わないとずーっと平行線のまま。ただ、お互いの価値観を押し付け合うのではなく、その子にとってどうしたらいいのかを、第三者の意見も含めてよく見極めること。どうしてもパパと意見が合わない時は、最終決定はどちらがするのかを決めておいた方がいいかも。

山本さん

 
最終決定者はパパにしておいた方がラクかも?育児や教育にパパが積極的に関わるようになり、またトラブルが起こった時には「パパが決めたことだし」とママは逃げ道を作れます(笑)。

夫婦時間もっと作るべき?

Q. 夫婦の時間が少ないのですが、休日などに子どもを預けてまで、2人の時間を作るなどした方がいいのでしょうか?

A. 家族の中心は、結局は夫婦です。月1でもいいので、2人だけの時間を意識して作りましょう。例えば「有名カレー屋を制覇」「パフェのお店を巡ろう」などテーマを決めておくと、毎回決めなくていいからラクでおすすめ。外出が無理なら、家族の年間行事を決めたり、この日なら2人で時間作れそうだね、など日にちを決めて家族会議をするのもいいですよ。

山本さん

 
未来の話ができなくなると夫婦仲は悪くなる、と言います。来週でも来月でも来年でも、先の話をしておくことが大事!

お話を聞いたのは

山本さん

NPO法人子育て学協会会長
株式会社アイ・エス・シー代表

山本直美さん

 

幼稚園教諭を経て1995年同社を設立。保護者と子どものための教室「リトルパルズ」や保育園を運営。子育ての専門家「チャイルド・ファミリーコンサルタント」の育成や子育て講座、パパ講座など子育てに関する学びの場を多数提供する。
http://kosodategaku.jp

取材・文/門司智子

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