子育てには楽しいことがたくさんある一方、辛い・大変と感じることも多いかもしれません。 今回は、特に未就学児を抱える親の多くの方が感じている子育ての大変な部分について共有しながら、その時期をどのように工夫して乗り越えていけるのか、一緒に考えてみたいと思います。
平成27年に厚生労働省が実施した調査では、子育てをしていて負担・不安に思う人の割合は全体の7割以上であることがわかりました。昨今は長引くコロナ禍の影響で、育児ストレスを感じる人がより増えているかもしれません。
しかし、果たして子育ては本当に大変なのでしょうか?
想像してみてください。もし24時間、あなたと子どもの身のまわりの世話を手伝ってくれる人がいたら、いかがでしょう。
食料や日用品の買い出し、食事の用意、ゴミ捨てからお風呂掃除まで、家事のほとんどを誰かが代わりにやってくれたら楽だなと思いませんか?
授乳を終えて赤ちゃんが眠りに入ったところで、タイミングよく温かい飲み物とクッキーを出してくれる人がいたら、子どものかわいい寝顔を見ながら気持ちまでほっこり温かくなる気がしませんか?
ゆっくりお風呂に浸かっている時、部屋で寝ていた赤ちゃんが泣き出したとしても、「抱っこしておくからのんびりお風呂に入っていいよ」と声をかけてくれる人がいたら、 ほっと安心できませんか?
つまり、突発的なことが次から次へと起こる子育てをしながら、 仕事や家事も同時にやらなければならない、この環境こそが「大変さ」 を感じさせる原因のひとつになっている可能性があり、実は子育てそのものが大変なわけではないかもしれません。
「子育てが大変」、「育児がつらい」 と感じることに罪悪感を感じる必要はなく、むしろその原因と背景をきちんと理解して適切に対処することが大切なのではないでしょうか。
子育てを大変と感じる理由は?
ここでは子育てが大変と感じやすい背景についていくつか挙げてみます。ぜひ、ご自身の今の生活と照らし合わせながら読み進めてみてくださいね。
1.睡眠不足や疲れの蓄積がある上、24時間気持ちが張り詰めている
0才の赤ちゃん、特に月齢が低い時期には、昼夜関係なく子どものお世話をしなければならず、睡眠不足や疲れは蓄積しやすいものです。またハイハイやつかまり立ちを始める頃からは、危険なものはないか、うっかり怪我をしないかなど、親は常に緊張感をもっているでしょう。
元気に走り回れるような年齢になると、日中のわずかなお昼寝タイムが唯一ほっとできる時間になり、お昼寝をしなくなったあとの休日などは朝から晩までママが一人になれる時間はないかもしれません。
特に初めての育児では、分からないことも多く「本当にこれでいいのだろうか?」と不安になりますよね。子どもがいくつになっても、1年365日、 ママは大変。本当におつかれさまです。
2.ワンオペ育児やパートナーとの家事分担に不満がある
最近は、ワンオペ育児という言葉もよく耳にするようになりました。これは、夫または妻がひとりで家事も育児もまわしていくことを指します。
特に未就学児の間は、子どもが一人で遊べる時間も少なく、親が関わる時間が多く必要です。午前中に洗濯物を干したい、そろそろ夕飯づくりを始めないと寝かしつけが遅くなるなど、 ママは先を見通して予定を立てることができますが、この時期の 子どもは「いまママと一緒に遊びたい!」と目の前のことしか見えていません。
パートナーが仕事で忙しかったり、家事・育児の分担が平等ではないといった不満が、「子育てが大変」と思わせてしまうこともあります。
各家庭により事情が異なりますが、夫婦で冷静に話し合う場を設けたり、 相手に感謝したり労いの気持ちを持つことを大切にしたいですね。
3.仕事との両立
今の親世代が子どもの時には専業主婦家庭が多かったですが、現在は共働き家庭の方が多くなっているという背景があります。
職場の理解が得られず子どもが風邪をひいた時に休みにくい、保育園のお迎えに合わせた時間のやりくりが難しいなど、 子育てと仕事を両立する難しさも多くの方が感じている悩みのひとつでしょう。時短勤務により自分のキャリアに不安を感じている方もいるかもしれません。
しかし、「この期間も決して無駄ではない」と考え方を変えてみてはいかがでしょうか。独身時代と比べ、使える時間が限られているため、 自然と効率よく仕事を進める方法や生産性をあげるための工夫をしていませんか?
育児と子育て、二足のわらじを履いているともいえるこの状況。 本当はとてもすごいことなのです。
4.兄弟姉妹がいる場合の対応の難しさ
弟や妹が生まれた時に上の子が赤ちゃん返りをする、 という話は聞いたことがあるかもしれません。しかしこれは、下の子が新生児の時期に限ったことではなく、兄妹姉妹でヤキモチを焼くことは子どもが大きくなっても起こるので、親の配慮が必要な場面があります。
また年齢によって遊びの内容や活動の幅が異なる時には、どちらかを我慢させたり、待たせてしまう時間が長くなったりすることも。
しかし、これは悪いことではありません。思いやりや譲り合いの気持ちを育む練習の場にもなっており、社会性を身につけるためには大切な経験です。そうは言っても、なるべく子どもは平等にしてあげたいという親心もあり、対応が難しく感じることもありますね。
子育てがいちばん大変な時期はいつ?
子育てが大変だと感じる時期は、子どもの性格によって、また親の性格や受け取り方によって異なります。そもそも子育てが簡単と思える時期は一生来ないのかもしれませんが、一般的には3才を過ぎると、子どもが自分でできることが増えるので楽になったと感じるママが多いようです。
食事、着替えなど、子どもが自分でやってくれる上、お手伝いをしてくれることもあるかもしれません。親自身も育児に慣れてきたり、子どもが幼稚園や保育園に入り、自分の時間が持てるようになるとリフレッシュもしやすくなります。
ママがうまく気持ちを切り替え、子どもが甘えてきた時にはやさしく受け止めてあげられるとみんながハッピーになりますね。
子育てが大変な時期を乗り切る方法は?
ここまでは、 そもそもの子育て自体が大変なのでは なく、仕事や家事とのバランスがうまく取れず苦労が絶えないのではないか、 という話をしてきました。
そうは言っても、大変なことは今日も明日も続きますよね。ここからは、 子育てが大変な時期を乗り切る方法について具体的に解説していきます。
1.「完璧」をめざさない!手抜きでOK!
部屋の片付け、食事の準備などを完璧にしようとすると大変。ときには、白米と納豆だけの夜ご飯でもいいや!と思い切って気持ちを切り替えてみませんか? 真面目な人ほど完璧を求めがちですが、時には自分にもやさしくしてあげましょう。
一度手を抜くと 生活が乱れるのでは?と心配する声が聞こえてきそうですが、大丈夫。これは私の実体験ですが、さすがに3日も4日も納豆ご飯だけの日が続くと自然と「そろそろご飯作りをしようかな」と思えるものです。
パパとママの心がおだやかでいられること、肩の力が抜けることが大切。家族や行政のサポートの活用も視野に入れながら、上手に手抜き・息抜きをしていきましょう。
2.SNSデトックスも効果的
ほかの子どもの成長や、ほかの親の育児とを比べて落ち込んでしまったり、自己嫌悪に陥ったりする時には、そうした情報から距離を置くことも大切です。
子育ては早い者勝ちではありません。他人との比較ではなく、少し前のその子自身と比べて、何ができるようになったか、どこが成長したかを見つけてあげましょう。その時期にしか見られない子どもの貴重な姿を目に焼き付けるくらいの気持ちで、ときには童心に返って、とことん一緒に遊ぶのも良いかもしれません。
3.一人で抱え込まない
一日中子どもと自分だけの生活で、他の大人と接する機会がないなど閉鎖的な日々を過ごしていると、余計に気持ちがネガティブになることがあります。人間の脳は、プラスなことよりもマイナスなことを覚えやすいという実験結果があるくらいなので、意識的に楽しいことに目を向ける必要があります。
家族や友人、インターネットなどを上手に活用して、ママが自分の好きなことを話せる場を見つけたり、時には辛いという感情を吐き出したりすることも大切ですね。
一日中子どもと自分だけの生活で、他の大人と接する機会がないなど閉鎖的な日々を過ごしていると、余計に気持ちがネガティブになることがあります。人間の脳は、プラスなことよりもマイナスなことを覚えやすいという実験結果があるくらいなので、意識的に楽しいことに目を向ける必要があります。
家族や友人、インターネットなどを上手に活用して、ママが自分の好きなことを話せる場を見つけたり、時には辛いという感情を吐き出したりすることも大切ですね。
4.自分のイライラの傾向を分析する
なんとなく毎日イライラしている、気持ちのモヤモヤが晴れない、そんなふうに感じているママもいるかもしれません。これらの原因はなにか、客観的に分析してみるのもおすすめです。
試しに、大きな紙を用意して、形式にとらわれず、思ったことをどんどん書き出してみてください。頭の中だけで考えていると堂々巡りになりがちですが、頭の中身を一度自分の外に出して眺めるだけで、スッキリすることもあります。
さらに、書き出したものを似たもの同士でグループ分けすると、自分が何に対して不満を抱いているのか、その傾向が見えてきます。例えば、イライラすることの背景に寝不足が関わっている場合が多いとわかれば、睡眠時間の確保を最優先にするなどの具体的な対処法がわかるでしょう。
子育てが大変で、心と体が限界と感じたら【相談先はここ!】
それでも子育ての大変さがどうしても解消できず、心も体も限界だと感じた時には、迷わずに専門家に相談をしましょう。「自分はダメな親だ」と感じる必要はありません。
私も、年齢の近い未就学児の子どもを3人抱えて壮絶なワンオペ育児をしていた時期に、子どもが通う幼稚園に定期的に来ていた発達心理学の先生に子育て相談をしたことが2度あります。話を聞いてもらうだけで涙が流れた時もありましたが、逆にそれでスッキリできたのも事実です。
相談窓口としては次のようなものがあります。
- 助産師、保健師、小児科医
- 子育て・女性健康支援センター
- ママさん110番
- 市や区ごとの相談窓口
「こんなことで相談するなんて恥ずかしい」などと思わなくて大丈夫。少し話を聞いてもらうだけでも、驚くほど前向きな気持ちになれますよ。思い詰める前に、ここなら行きやすいかなと思えるところに足を運んでみることをおすすめします。
まとめ
ひとことで「子育てが大変」といっても、その原因や負担に感じる度合いは、人によって異なります。赤ちゃんから幼児になると少し大変さが和らぐとも言われますが、小学生以上のお子さんをもつママからは、思春期が近づくにつれて、心のケアや、声かけひとつにも気を遣う、という話を聞いたこともあります。
大切なのは一人で抱え込まないこと。大変な時には、誰かに甘えてみたり、相談したりすることも大切です。ママが楽しむことが一番。すると、それが自然に子どもにも伝わりますよ。大変なのは自分だけではない!みんなそれぞれ工夫しながら頑張っているんだ!ということが伝わり、励みになれば幸いです。
リトル・ママ認定ライター MISAO