「診断や療育ももちろん必要ですが、毎日子どもに接する保護者の声掛け次第で、発達を促すことができます。接し方や声掛けを変えれば、お子さんやママ自身のストレスも減って子育てが楽しくなりますよ」そう話すのは、脳科学をベースにオンラインでのペアレントトレーニング「発達科学コミュニケーション」を行う臨床発達心理士の吉野加容子先生です。
第3回では、先生が教えるコミュニケーション4ステップを一部ご紹介します。
お母さんは会話より指示出しをする場面が多いので、どうしても第一声が厳しい口調になりがちです。でも、最初の声掛けが「ちょっと!〇〇(名前)!!」だったり、「まだテレビ見てるの?」など否定から入ってしまうと、この先に嫌な支持が待ち受けているに違いないと子どもも察しますよね(笑)。コミュニケーションは“最初の声掛けがすべて”とも言えます。
声をかける前に一呼吸置いて、子どもの“今”を肯定的に捉えた、楽しい会話からスタートしてみましょう。
例えば、ただ「片付けなさい」と言うだけでは、グレーゾーンの子の特性によっては何をどうしたらいいのか混乱してしまいます。「床の絵本を本棚に入れて、おもちゃをカゴに入れて」といったように、具体的な指示を出せば伝わりやすくなります。 子どもが「やりたくない」とぐずった時には、「今片付ける?それとも、テレビを見てから片付ける?」と選択肢を与えてあげるのも一つの手です。
指示を聞かないとき、反抗してきたときに、親が応戦してしまっては火に油。ママには忍耐力がいりますが、子どもの言動に取り合わずに、受け流すことも必要です。 ただし、ため息をついたり、大きな音をたてたりして“無言のプレッシャー”を与えることは禁物。待っているときは、子どもを褒める準備をするつもりでいるといいですね。
最後に子どもができたことをほめてあげることで、成功体験が記憶に残り、子どもの自信にもつながっていきます。 「全部できたらほめよう」と思っていると、子どもが最後までやりきれなかった場合に肯定するチャンスを逃してしまうので、「着替え始めたんだね!」「もう〇〇したんだね!」など、途中経過を小まめにしっかりとほめることがポイントです。
その際に“事実を”“コンパクト”にほめてください。「えらいね!」「すごいね!」だけではなく、本人ができた行動をそのまま言葉にしてほめた方が伝わります。例えば着替えなら、「ちゃんとズボンはけたね」「その服を選んだんだね」など些細なことで構いません。 ここで注意してほしいのが、「明日からもそうしてね」「〇〇ができてないよ」など、皮肉を込めてしまうこと。これではせっかくのほめ言葉もお説教になってしまいます。できないことに注目せず、すでにできていることに注目しましょう。
◆吉野加容子プロフィール
学術博士、臨床発達心理士。脳科学をベースにした発達支援が専門で、現在「発達科学ラボ」を主宰。著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』ほか。
https://desc-lab.com/
◆編集部より吉野先生のオンラインペアトレーニングでもおすすめしているコミュニケーション4ステップ、いかがでしたでしょうか。グレーゾーンのお子さんだけに限らず、親子や夫婦のコミュニケーションにも参考になる貴重なお話をお伺いすることができました。著書『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』にはさらに目から鱗な解説も。もっと知りたいという方はぜひご一読ください!
(取材・文/リトル・ママ編集部)
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