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「私立」「国立」「公立」どれにする? 子供がグングン伸びる学校選び&親の心得ガイド

私立・国立・公立、わが子にベストな学校は?  入学までにしておいたほうがいいことは? 小学校の教育制度が大きく変わるって本当?  教育ジャーナリストの石田勝紀さんにお聞きしました。


教えてくれたのは…
石田 勝紀(いしだかつのり)

1968年生まれ。学習塾経営、都内私立中高一貫校の常務理事として経営、教育改革を実践。現在は、育児中のママ向け勉強会「ママカフェ」や講演会にも力を注ぐ。『東洋経済オンライン』での教育連載コラムは、累計5700万PVを記録。

最新刊『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)ほか著書多数。

公式サイト
https://ishida.online

これからの小学校はここが変わる

2020年度から学習指導要領が全面改訂され、学習内容が変わります。ご存知の方も多いと思いますが、小学3年生から英語の授業が開始され、5年生からは英語が教科化されます。また、プログラミング教育も必修に。各教科においてもプログラミングの要素である論理的思考が重要視され、主体性をもってより深く学ぶ姿勢が求められるようになります。  それに伴い、グループ学習などのアクティブラーニング型の授業が増えていくでしょう。保護者の皆さんは、自分の幼少期に受けた教育との違いについていけるかと不安になるかもしれませんが、新しい教育を子どもと一緒に楽しむ感覚が大切です。

将来の仕事につながる「学び方」

今後は、大学入試も変わります。2020年度からセンター試験にかわる新しい試験が導入。今までは選択式のマークシートでしたが、暗記だけでは太刀打ちできない、考えて解く記述式の問題が中心になります。大学入試改革は義務教育過程にも影響します。知識のインプットばかりではなく、子どもたちが社会に出たときに、実際に役立つことを学ぼうという傾向に変わりつつあるのです。  AI(人工知能)は決められた作業をきちんとこなすだけなら得意です。従来この役割を担ってきた仕事がAIに取って代わり、今は存在しない新しい概念の仕事につくのがこれからの子どもたち。「みんなはこう言うから」とか「先生にこれをやりなさいと言われたから」ではなく「私はこう思う」「僕はこれがやりたい。なぜなら…」と主体的に考えられる練習が小学校時代から必要なのです。

入学までにしておいたほうがいいことは?

「やらねばならないこと」だと思わせない「しかけ」をつくると勉強は楽しくスムーズに学べます。今、テレビのクイズ番組が人気です。あれも一問ずつテストで出されたら、つまらないけれど、クイズ形式で出題されれば、楽しく学べる内容に。漢字や算数の問題もクイズみたいに楽しめる方法で覚えるのが一番。「勉強しなさい」と押し付けるのではなく、一緒に楽しみながら学ぶ姿勢が何より大切ですね。

「小学校は私立と公立どちらに進学するのがいいですか?」という質問をよくいただきますが、どの学校にも長所、短所があります。入学後に後悔しない学校選びをするためには、私立、公立に関わらず、「ここで学びたい」というポジティブな入学動機が見つかる学校を見つけることが一番です。

わが家に合った学校選びのポイント

どの学校にもメリット、デメリットがあります。私立・国立校は教育方針が子どもに合う学校が見つかると親も子も満足な学校生活が送れるでしょう。公立は、中学受験をして進学校に進むなど、その後の選択肢が豊富。色々なタイプの子どもと触れ合い世の中を知る貴重な機会にもなります。

公立小学校

独自の特色ある教育をする学校や選択制で通いたい小学校を選べる自治体も増えてきていますが、基本は公教育のため、どの地域でも同じ教育が受けられることが前提。さまざまなタイプの子どもが集まるので、社会の縮図のような経験ができます。塾に通いながら受験するケースも多く、その場合将来的な学力面でも遜色がありません。

国立小学校

新しい教育手法で学ぶことができます。私立に比べ学費が安いメリットも。のびのびと新しい教育方針のもとで学ばせたい家庭には向いています。希望する進路により、内部進学する生徒、受験して他校に進学する生徒も。教員の多くはその系列大学の卒業生が多く、総じてレベルが高めで、教育熱心な家庭が多い傾向も。

私立小学校

私立はそれぞれが建学の精神を持っており、家庭の教育方針や子どものタイプに合う学校選びが重要です。中学受験前提の進学校や大学付属校、インターナショナルスクールなど、学力レベルや雰囲気もさまざま。学校によっては卒業生の多くが付属校に進学するなど、進路選択の幅が狭くなりがちなので、将来を見越した学校選びが必要です。

小学校選び Q&A

初めての学校選びや入学準備は不安が いっぱい。読者アンケートをもとに、これから 小学校選びをするママが知りたい疑問、

Q1 子どもに合う学校はどうしたら分かりますか?

人は大きく分類するとマルチタスク型(無駄が嫌い、物事の価値を得か損かで判断)とシングルタスク型(好きか嫌いが価値基準。好きなことには没頭できる集中力がある)に分けられます。これまでの公立の教育はマルチタスク型の人間を養成するもの。良い内申点を取るには苦手な教科があると不利になります。得意科目だけ突出しているようなシングルタスク型の人はどちらかというと、個性を尊重する私立向きといえるでしょう。

でも、子どもがどちらの特性か分かるのは、だいたい10才以上。幼い頃だけシングルタスク型の子どもも多いので、この時期は参考程度に考えてください。

Q2 英語やプログラミングが必修化。準備は必要?

必修化の影響から子ども向けの英語やプログラミングの教室が人気を集めています。習い事として楽しむなら構いませんが、小さい頃から習っていた子が、中学から始めた子に簡単に追い抜かされるケースはよくあります。

未就学の時期は、早期教育よりも「どうしてだろうね?」というマジックワードを使って、日常の中で疑問を持つ習慣づくりをおすすめします。疑問を持ち、考える習慣ができると「地頭」は後からいくらでも鍛えることができるのです

Q3 子どもの意思ではなく親の希望で学校選びをしてもいいのでしょうか?

子どもの年齢的に、小学校を受験するかどうか決めるのは、ほぼ親の意向になります。もし、親御さんが私立や国立校に魅力を感じているのであれば、チャレンジしたほうがいいと思います。受験しなかったことへの後悔で、進学した学校の欠点ばかりが目につくケースが多いからです。

「公立は荒れていると聞くから」「いじめが心配」などネガティブ要因を気にして、消去法で学校選びをする方もいますが、私立や国立校にトラブルが何もないわけではありません。どんなところに魅力を感じて、その学校を志望するのか明確にしておきましょう。ポジティブな理由で学校選びをすると、お子さんの学校生活もうまくいくようです。

Q4 共働き家庭やシングルマザーも小学校受験は可能でしょうか?

今は共働き世帯やシングル家庭も多いことは学校側も承知しています。ただ、父母会への参加頻度や学校が親のコミットメントをどれくらい求めてくるかなどの情報を受験前に確認しておいたほうがベター。

奉仕精神を重んじるキリスト教系の私立校などは公立校よりも親の参加する行事や役割が多い場合があります。

Q5 国立や私立の記念受験を検討中。合格できる確率は?

多くは幼児教室に通ったり、家庭学習を続けながら受験に備えますが、まったく受験勉強をせずに合格したというケースも時折あります。受験自体は可能です。しかし、もし受験に落ちた場合、失敗経験を幼少期にあえてさせる必要があるのか疑問です。

中学受験に向けての勉強は、公立中学三年分の学習にも匹敵するといわれ、先取り学習ができるのでたとえ受験に落ちてもメリットはあります。小学校受験を記念のつもりでやらせるなら、別の習い事などにお金を使ったほうがいいのでは?と思います。

特色ある小学校ガイド

体験学習を中心とした自由学校

学校法人 きのくに子どもの村学園 南アルプス子どもの村小学校 (山梨県南アルプス市)

http://www.kinokuni.ac.jp/nc_alps/html/

プロジェクトとよばれる体験学習が中心で、子どもたちの自己決定や個性化を大切にする学校です。プロジェクトは衣食住や表現をテーマとし、子ども自身が入りたいクラスを決めます。いろいろな年齢の子どもたちが話し合いながら活動しています。

1992年に和歌山県で開校し、福井県、福岡県、山梨県に併設校があります。現在、長崎県東彼杵町に5番目の小学校が認可申請中です。学校には寮があり、山梨県では半数の子どもたちが寮生活を送っています。

国際プログラムの一貫教育が受けられる

関西国際学園初等部 (兵庫県神戸市)

http://www.kis-g.jp/

日英バイリンガル(カリキュラムの言語比率50%/50%)での「国際バカロレア(IB)」PYP(3才〜12才)認定校。IBPYPとは国際バカロレア機構が認定する世界基準のカリキュラムで、児童自ら問題を見つけ、考え、解決し、行動、共有、発信する教育法。

日本人のアイデンティティーを持ち、世界中の人たちと渡り合う「日英バイリンガル教育を通して国際社会に貢献できるリーダーの育成」という教育理念のもと、他にない教育を実施。付属中等部の他2019年に高等部(IBDP正式候補校)も開校予定。

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