「まさか自分はそうならないだろう」と思っている人が多い帝王切開。でも、出産当日に思いがけず帝王切開になったママは意外と多いもの。今回は帝王切開の経験を持つ3人のママで、当事者だからこそ語り合えることやこれから出産するママたちに伝えたいことを聞きました。少しでも知識があれば、さまざまな準備ができて安心ですよ♪
座談会に参加したのはこの3人
目次
田村 上の子は予定日を1週間過ぎても出て来てくれなくて。入院して子宮口を開くためのバルーンを入れ陣痛は来たものの、やっぱり何時間経っても産まれる兆候がなく…。レントゲンを撮ったら私の骨盤が狭いことがわかって緊急帝王切開(※1)になりました。
若松 私も同じような流れです!陣痛が来て病院に行ったのに3日間出て来なくて。菌が入ってしまったのか、熱も出たので、「これはいけない」と緊急帝王切開になりました。
田村 私、10時間の陣痛の末に帝王切開になったのでとっても損した気分になっていたのですが、3日間だなんて!よく耐えましたね(泣)。
若松 3日間がんばっても子宮口は4センチしか開かなくって。
えり 私は妊娠8ヵ月ぐらいまでずっと逆子だったんですよ。
田村 それで帝王切開に?
えり いえ、逆子は「外回転術」でなおしてくれる病院を探して出産前に矯正することができたので、経膣分娩の予定で準備していたんです。でも、子宮口が10センチになっても、吸引しても出てこない。私の体に対して赤ちゃんが大きいことがわかり緊急帝王切開になったのですが、赤ちゃんが少し降りていたので、はさまってしまってお腹からもなかなか出せなくって…。
田村・えり 若松・田村ひえ~!
えり 結果的には無事でしたが、産まれた時は新生児仮死だったんです。私も出血が多くふらふらでした。だから2人目の時はより安心な環境で産みたいと思い、初めから施設・設備が充実した大きな病院を受診しました。
若松 そうなりますよね。私は2人目は大学病院に変え、予定帝王切開(※2)だからと安心していたのに、前日に陣痛が来て結局また緊急帝王切開。出産て思うようにいかないものですね。
(※1)緊急帝王切開…出産中に赤ちゃんやママの状況で経膣分娩が難しいと判断された場合に行う、緊急で行われる出産のための手術のこと。
(※2)予定帝王切開…前回の出産が帝王切開だった場合や過去に子宮の手術を受けている場合をはじめ、前置胎盤や逆子、双子の場合などにあらかじめ日時を決めて行う帝王切開分娩。陣痛が起こる
若松 出産後は汗びっしょりなのに手術したから水が飲めないのと数日間お風呂に入れなかったのが辛かったですね。
田村 わかります!私は手術そのものが初めてだったので、術後しばらくは水も飲めないしごはんも食べられないというのを知らなくて、その事実を知ったときは泣きました(笑)。さらに、翌日にようやく食事が出されてもほぼ白湯のような流動食だったので、悲しくてまた泣きました(笑)。
若松 私が入院した大学病院は流動食の期間が長かったんですよ。味がしないのが辛くて、持って行ったふりかけが重宝しました。
えり みなさんはお腹は縦・横、どちらに切開しました?私は赤ちゃんも大きかったので大きく縦に切ったんです。傷口の範囲が広いせいかベッドで体の向きを変えることもできず、起き上がることもできなくて。“起き上がらせ要因”として、夫と妹が交互で泊まり込んでくれました。
若松 私も緊急だからと縦になりました。授乳する際に立ったり座ったりするのが辛くて、「うぅ…」とうめきながら動いていたのを思い出します。
田村 私はなぜか横でした。病院や先生によっても違うのかもしれませんね。傷跡がケロイドになりやすい体質だったようで、1人目の時は傷跡はとても目立っていました。それから2年後に同じ病院で出産した時には、傷跡の治療をするレーザーの機械が導入されていて、それを出産後に使ったんです。おかげでほとんど目立たなくなりました。
えり 傷跡って今でも触ると麻痺してる感覚がありませんか?
田村 あ、わかります。感覚があまりないですよね。私はいまだにかゆくなったりするので嫌なんですが、これも勲章かなって思うようにしてます。
えり 大変な思いをしたことも、子どもたちが元気なら笑い話になっちゃいますよね。
若松・田村 うん、うん。
えり 母をはじめ周囲がみんなスムーズな安産だったので、「私もきっと何の問題もない」と思い込み、危機感もゼロだったんです。だから病院選びもあまり深く考えていなくて、「食事が美味しい」とかそういう面で選んでしまっていました。でも、食事は落ち着いてから好きなものを食べに行けばいいので、信頼できる先生か、病院の雰囲気はどうかなど、口コミや周囲の話を参考にして、自分に合っているかどうかで選ぶべきだと今は思っています。
若松 いつ産まれるか本当にわからないので、「準備は早めに」というのはぜひお伝えしたいですね。あと、帝王切開ママの中には、「そうなったのは私のせい」と自分を責めてしまう方もいると聞きました。そう思うのではなく、安全に産んであげられたことを誇りに思ってほしいです。
田村 経膣分娩を経験してみたかった、という気持ちも以前は少し抱いていたのですが、今はどちらでも同じ出産だからと感じるようになりました。無事に産まれてくれればなんだっていいんですよね。
えり 本当にその通りですね。
若松 うんうん!本当に。
◎こんな意外な持ち物もおすすめ!
3人が共通して辛かったことのひとつが、病院でのシャワー後にショーツを履くこと。「あの体勢が術後の傷口に響いて痛い!」(一同)。3人で出した解決法は、「あまり足を上げずに履けるよう、ゴムが緩んでしまったショーツを持っていく」こと(笑)。出産準備のバッグの中に、ぜひゴムがゆるゆるになったショーツを1枚忍ばせておいてくだい。
取材・文/田村麻記
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