一般に、戌の日のあたりから使い始める妊娠帯。妊娠中の大きなお腹をサポートするために使うものです。しかしながら、使った!という方もいれば、使わなかった!という方もいるようですね。今回は妊娠帯について、必要なケースと不要なケースを紹介します。
まずは、妊娠帯とは何かについて明します。
腹帯(ふくたい、はらおび)は、名前の通りお腹に巻く帯のことです。 日本では、妊娠5ヶ月目の最初の戌の日に、安産を祈願してお腹に布を巻く風習(帯祝い)があります。戌(犬)はたくさん子どもを産みますがお産が軽く「安産の守り神」とされているからです。これにちなんで、戌の日に安産を願うのですね。 帯祝いの日にお腹にまく「祝い帯」として、昔から儀式に使用していたさらしの帯は、まくのが大変です。ですので、妊婦服の会社により改良され、昭和15年頃に「妊婦帯」という名で販売が始まりました。商品名が違いますが、腹帯と妊婦帯は同じものと考えて差し支えありません。
妊娠中に腰に負担を感じるという人におすすめなのが、マタニティベルトです。 妊娠初期からでも、腰に負担を感じる…と思ったタイミングでの使い始めるのがよいでしょう。また、産後も出産直後~3ヶ月くらいの期間で使うことができます。
骨盤まわりの骨(恥骨結合・大転子・仙腸関節など)をサポートするつくりになっていて、腰への負担をやわらげてくれます。
大きなショーツのような形をしており、大きくなったお腹を下からささえるベルトが付いています。ベルト部分はマジックテープになっており、でキツさを調整できるものが多いようです。 マタニティガードルは、お腹が大きく重くなってくる妊娠中期以降から使う人が多いです。 ベルトがしっかり骨盤を支えますので、恥骨痛や大きくなったお腹の重さによる腰痛などをやわらげてくれます。
腹帯の項で書きましたが、日本においては妊娠5ヶ月目の最初の戌の日から服帯を使用し始める人が多いようです。しかし、妊娠中の身体の調子は人それぞれ。 つらいようなら戌の日をまたずに使い始める、必要がないと感じるならばスルーする、など、個々人の都合に合わせて使用を検討するのがよいでしょう。(妊娠帯が必要なケース、不必要なケースにつきましては、詳しく後述します)
「妊婦帯を使わなかった」という意見もたびたび耳にします。妊娠帯は絶対に使用しなくてはいけないものではありませんし、また海外では妊娠帯そのものが存在しません(マタニティガードルはあります)。戌の日に紐付けられた妊婦帯というものは日本独自のもので、医学的にみれば、安産かどうかに影響を及ぼすものではありません。
しかし、妊婦帯が日本で使われてきた背景にはやはり意味があり、使うことによるメリットも存在します。この項では、妊婦帯を使うメリットについて説明します。
「妊娠帯を使わなかった」と思っている人でも、実は腹巻きタイプのものを使っていた…ということが度々あります。妊婦帯には、大きな腹巻きのような形をしているものが多いです。お腹をすっぽりと覆うことにより、お腹が冷えるのを防ぐことができます。柔らかい素材だったり、ゆるく作られているものならば、締めつけ感が苦手な人でも使いやすいでしょう。妊娠中に身体を冷やすと、お腹が張ってしまったり、手足がむくんだりと、あまりいいことはありません。冷えの対策をしたい場合は、妊婦帯を検討しましょう。
妊娠中はどんどん大きくなるお腹の影響で、腰や背中が痛くなることがあります。そんなときにサポート力のある腹帯を利用することにより、身体にかかる負担を少なくすることができます。筆者は腹巻きタイプのものが苦手でしたが、腰の痛みが酷かったので「両端にマジックテープがついていて、お腹の下に一重に巻くだけ」の簡単な妊娠帯を利用しました。ほんの布一枚なのに、ずいぶん楽になってびっくりしたものです。
妊娠して徐々におなかが大きくなると、おなかは前に突き出て、背中は後ろに反っていきます。それにより身体のバランスが不安定になります。 骨盤を立てるような姿勢を意識するのがよいと一般に言われていますが、なかなか日常で意識し続けるのは難しいという人が多いのではないでしょうか。そんなときに妊娠帯を使えば、骨盤を適切にサポートして、正しい姿勢に近づける手伝いをしてくれます。
妊娠帯を使わないほうがいいケースもあります。以下のような人は注意が必要です。
妊娠中の高血圧は「妊娠中毒症」を引き起こす可能性があります。赤ちゃんの成長が妨げられ、ひどいケースですとママが死亡することも。
重い妊娠中毒症では、妊娠の継続を諦めねばならないケースもあります。 ここで心配なのが、服帯の締めすぎです。大きくなった子宮を背骨の方へ押しつけると、おなかの中の血管や、大動静脈が圧迫されて、高血圧を引き起こすことがあります。 もともと高血圧でない人でも締めすぎには要注意です。高血圧の人が妊娠帯を検討するときには、締め付けのないものを選ぶか、使用することをやめたほうがいいかもしれません。
妊娠中に体調が悪くなるのは珍しくありません。腰痛や背中痛だけでなく、めまい、立ちくらみ、悪心など、人によってさまざまです。 妊娠帯は、商品によっては身体を締め付ける作用があるため、体調に不安があるときに使用することによって、症状が悪化するかもしれません。 不安だなと思ったら、服帯を使用するのをやめましょう。
お腹が大きくなるのが真夏である場合も、無理に妊娠帯をしなくてよいでしょう。 安産祈願を押し通し、暑さでダウンしてしまっては元も子もありません。 どうしても祈願したい場合は、妊婦帯ではなく安産のお守りなどを使いましょう。
覚えておきたいことですが、妊婦帯は日本だけの習慣であり、医学的に証明された効果はありません。妊婦帯を使わなかったからといって、赤ちゃんが大きくなりすぎる、難産になるなどということはありません。
妊婦帯を選ぶときに大切なのは以下の3項目です。
きつすぎるものは高血圧を招きますので、自分の身体にあったものを選びましょう。
お腹をあたためたいなら腹巻きのようなものを、サポートしたいならガードルタイプのものを…と、自分の目的にあった妊婦帯を選びましょう。
冬と春秋では素材が違います。厚手のものにするのか、薄手のものがいいのか、実際に触ってみて選ぶと良いでしょう。
自分では選びきれないなど、不安がある場合はかかりつけの産婦人科の医師に相談しましょう。
妊娠帯にはメリット、デメリットがあります。腰痛に悩んでいたから使った、真夏だから使わなかった、と人それぞれの意見があります。大切なのは、自分にとってメリットがあるのかどうか、ということです。
使わなかったからといって、難産になることはありません。
また、きつく締め付けると高血圧になる可能性があるなど、デメリットについてもよく考えましょう。
本記事でご紹介した内容を参考にして、購入して着用するかどうかを検討してください。
ライター 星まさよ
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