体操の「ひろみちお兄さん」としておなじみの佐藤弘道さん。実は、親子体操を医学的に研究した「医学博士」でもあるんです!体操を通してたくさんのママ&子どもと関わるうちに、「親子体操の効果をきちんと調べたい」と思うようになったんだとか。ふれあいを楽しめるだけじゃない、親子体操の魅力についてお話を聞きました。
撮影/升谷玲子 取材・文/加藤朋実
子ども達はママやパパと一緒にあそぶことが大好きです。そして、子どもの健やかな成長のために運動はとても大切。親子で体を動かしふれあいを楽しめるのが「親子体操」です。
僕はこれまでもずっと親子体操についての活動をしてきました。親子体操は、なんとなく「親子の体力づくりやコミュニケーションによさそう」というイメージがありますよね。でも、その効果が医学的に証明されていませんでした。そこで弘前大学大学院で親子体操についての研究を行い、医学博士を取得しました。
研究では4才の子どもとママに家庭で自由に親子体操をしてもらい、6ヵ月間の追跡調査を行いました。そして調査の結果、親子で一緒に体を動かすことは、ママにもさまざまな効果があると分かったんです。
親子体操を続けてもらうと、まず、ママの体脂肪率の減少や血圧の安定という肉体面の変化がありました。さらに子育てストレスの低下や抑うつ度の低下、睡眠の質の向上といった精神面での健康度もアップしたのです。
また、親子で一緒にあそぶと、子どもが自主的に体を動かす時間も増えるということが分かりました。ママやパパと一緒に からだあそび をすることで、きっと体を動かす楽しさを知るのでしょうね。ですから「うちの子あまり外であそばないな」と思ったら、まず自分が率先して子どもと一緒に体を動かしてほしいんです。親子で簡単にできるあそびをいくつか紹介するのでぜひ試してみてくださいね。
親子体操は、何も難しいことをする必要はありません。1日5分だってOK。子どもとしっかり関わって、一緒に体を動かすだけでいいんです。ただしやりすぎはダメ。何事も「腹八分目」が大事です。
子どもの成長はあっという間です。今この瞬間を大切にして、子どもとふれあい、楽しみながらもっと一緒に体を動かしましょう!
ひろみちお兄さんが教えてくれた親子のからだあそび
※『親子でからだあそび』(世界文化社)より
- 1
「一緒にハイハイ」目安:赤ちゃん~2才頃
ハイハイは子どもの筋力を育み、体の成長にとっても大切なこと。子どもと並んで、または子どもを自分の胸の下に入れて、一緒にハイハイしてみましょう。
- 2
「手放しコアラ」 目安:3才頃~
だっこでギューッとしたら、そっと手を放します。子どもがしっかりつかまったら、落ちないように気をつけながら歩いたり踊ったりしてみましょう。
- 3
「足踏み対決」目安:4才頃~
向かい合って両手をつなぎ、足を踏む役と逃げる役になって、スタートの合図で対決!慣れてきたら、合図で先に足を踏んだ方が勝ちというルールに。
佐藤弘道さん
1968年東京生まれ。日本体育大学卒業後、NHK「おかあさんといっしょ」10代目体操のお兄さんを12年間務める。その後も親子体操教室、運動指導講習会、講演会、出版活動など全国各地で活躍。弘前大学大学院医学研究科 博士課程修了。医学博士。