プログラミングやアクティブラーニング…こうした教育の変化に戸惑うママたちの声は少なくありません。これからを生きる子どものために、親はどんな教育環境を与えられるのでしょうか。
今回取材したのは、大学受験だけでなくITや小説創作など、学びたい分野をネット授業で自由に学べ、未来の教育を体現する学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」。
偏差値世代の読者モニターとともに、新時代の学びについて話を伺いました。
Contents
◆「偏差値教育世代」の読者モニターと一緒に訪ねました
◆お話を伺ったのは
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校
副校長 上木原孝伸さん
大手教育企業で塾の講師として17年間教壇に立ち、受験指導に携わる。偏差値教育の限界とIT×教育の可能性を感じて2015年に株式会社ドワンゴに入社。2017年より現職に就任。
編集部:「偏差値教育世代」のママたちは、「今後偏差値教育は崩壊する」と言われていても、子どもにはやっぱり自分と同じように将来の大学受験を見据えた習いごとや勉強を考えがちです。
上木原さん:私はもともと塾の講師で、まさに偏差値教育の中心にいましたが、そこで頑張ってきた子どもたちが10年、20年後、偏差値に比例して幸せになっているかというと、必ずしもそうではないことを痛感しています。
昔はいい大学に行って有名企業に入るというレールに乗ってしまえば安泰でしたが、今、社会で求められるのは学歴だけではなくて自分の得意を究める力、つまり“自分の武器”です。
これまでは子どもを偏差値という一方向からしか照らさなかったけれど、本当はいろんな角度から照らすとキラキラ輝く場所があるんです。
だから偏差値教育だけでは限界があるし、それだけを指針にする必要はなくて、もっとb>多種多様な選択ができる教育を考えていくべきなのだと思います。
編集部:「多種多様な選択」とは具体的にどういうことでしょうか?
上木原さん:スポーツやIT、その他のことで自分が熱中できるものがあるならそれを究めればいい。もちろん勉強が好きで偏差値の高い学校を目指すならそれを頑張ってもいい。今までのような「受験を目指す教育」も含めた、選べる教育へと変わっていくということです。実際、既存の教育の枠にどうしても違和感を覚えてしまう子どもたちもいます。でも一つの枠に全員が収まらないのは当然のこと。
例えば、プログラミングが好きで自分で勉強しているうちに、決められた教科の勉強は疎かになってしまう。でも実はエンジニアとして働けるほどの技術を持っていて、実際に社会から必要とされるくらいなのに、「科目」という枠から外れてしまうことで輝ける場を失ってしまっている、といったケースです。「N高」は、様々な子どもたちが自分を活かせる場所を目指しています。
これからの教育に大切なのは、学校、ご家庭において子どもの多種多様な価値観を受け入れ、自分が好きな居場所で生きられる環境を整え、これで生きていくという具体的なスキルを身につけさせていくことだと思います。
「人生100年」「AI」「物が過剰すぎる」時代
「人生100年時代」で寿命は伸びても、社会における事業のサイクルはどんどん短くなっていて、近年では10年単位で大きく変わります。つまり学校で学んだことだけでは、急速なスピードで変化し続ける社会に対応していけないということ。だから「学び続ける力」が必要になります。その源となるのが「学ぶって楽しい、面白い」という価値観。幼児期に身につけたその感覚は一生ものになります。
機械やAIが進化することによって、逆に「人間とは何か」が問われる時代になってきています。機械やAIが代わりに仕事をやってくれるようになれば、より対人コミュニケーションがクローズアップされ、協働力やチームワークなどが求められます。そういった力は非認知スキルと言われ、コミュニケーション力や情動対処力、回復力や状況適応力などが挙げられます。
昔は足りない物や解決できない課題がたくさんあり、そこから仕事や事業が生み出されていました。ところが、現代ではむしろ物が過剰となり、課題が不足しています。そんな中で、「実は困っていた」「こういうのが欲しかった」というように、問いのないところに問いを作り出す課題設定力と、答えのないところに答えを生み出す創造力が求められています。
未就学児のママたちが聞く
「小1~2くらいまでに身につけた非認知スキルが子どもの将来の力を左右する」と話す上木原さん。毎日の子どもとの関わりの中で何が大切なのか、読者モニターママが聞きました。
勉強でもスポーツでも遊びでも集中する、夢中になることが大切。「さっきは集中していたね!」とほめ、「集中するってこういうことなんだ」と教えてあげましょう。幼児期に集中状態の経験があると、後に学びたいことや突き詰めたいことに集中して取り組めるようになります。
SNSの普及などで、ひと言や短文での会話が多くなっています。大人が主語と述語のある正しい日本語で話すことを心がけ、子どもが「はい」「いいえ」で答えられるような質問はできるだけしないようにしましょう。会話や本の読み聞かせが、語彙力や文章力のベースとなります。
子どもの「なぜなぜ」が面倒な時もありますよね(笑)。でもこれがクリティカルシンキング(批判的思考)の素。「なぜ」という問いを持ち続けることで、物事を最後まで究める力、問い続けられる力につながります。
学校法人角川ドワンゴ学園の運営するインターネットを通じて学べる通信制の高等学校。年5日間程度のスクーリング(リアルな場の授業)はあるが、授業もレポート提出も基本的にはネットを通じて行う仕組み。
高卒資格取得のためのカリキュラムだけでなく、IT、小説創作、ゲーム制作やファッションなどあらゆる分野のスペシャリストを講師に迎えたプログラムがあり、“自分の好きな分野”を究められる内容になっています。 既存の枠にとらわれない“ネットの高校”という新しい形の学校です。
取材・文/門司智子
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