今年で80周年を迎えた福岡県大牟田市動物園内に、2021年10月1日、絵本美術館「ともだちや絵本美術館」がオープンしました。
施設名の由来になった絵本『おれたち、ともだち!』シリーズの絵詞作家、内田麟太郎さんは大牟田市の出身。「ともだちや絵本美術館」にも内田さんが手掛けた絵本の原画などが展示されています。今回は施設のオープン記念インタビューとして、内田さんに作品の誕生秘話やママ達へ伝えたいことなどを伺いました。
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よく「絵本を通して子どもたちに伝えたいことは?」と聞かれますが、特別に何かを伝えるというより、「面白い!」と笑って読んでもらいたいと思っています。
アジア圏でも翻訳されている『おれたち、ともだち!』シリーズは、1時間100円でともだち屋を始めたキツネが、オオカミやクマと出会う友情物語ですが、友達をお金で買うなんて、ちょっとふざけているでしょ?正統派の真面目なストーリーよりも、少し力を抜いたユーモアのある方が好き。リズミカルな言葉をチョイスして、最後はキッチリ結論づけずに、何がいいたいのかな?と想像を膨らませる結末にしたいんです。きっとその方が、子どもは気に入って何度も読んでくれると思います。
館名の由来にもなった
『おれたち、ともだち!』シリーズが大人気
『ともだちや』(偕成社)
作:内田麟太郎 絵:降矢なな
音楽を聴いたり映画を観たりした時、それぞれ受け取り方が違うように、絵本も感じたままを受け取ってもらいたい。内容を理解するより、何かを感じ取ったその感性の方が何倍も大事です。アートやデザイン、音楽などの文化は生活に直接必要ないと思われがちですが、大人になって何かしようと思ったら、力になるのが想像力。それには感性がとても大切で、感性は感動から生まれるものなのです。
幼稚園や保育園、学校は先生や友達と出会い、雰囲気や匂いに触れたり、時には友達とケンカをしたりする場所。でもコロナ禍の今、それを体感できず、発表会や運動会など集団生活から生まれる感動が得られないのはとても残念なことです。こんな時期だからこそ、子どもたちにはできるだけリアルな経験をたくさんさせてあげて欲しいですね。
絵本を制作する時は、こだわりすぎて行き詰まることもあります。そんな時は潔く諦める。すると案外いいアイデアが生まれて、あっという間に1冊が完成します。子育ても同じで、親は子どもの将来を思って、「いい大学や就職を」と安全な道を行かせようとするけれど、そう思い通りにはいかないものです。失敗してもいい、そこからまた新しい道が開けるのだから。”人間には失敗する権利がある“と思っています。何かに執着するより、「ま、どうにかなるさ」と気楽にいくのが一番。だって人生長いんだから。
作:内田麟太郎 絵:降矢なな(偕成社)
対象年齢/3才~
1998年に『ともだちや』が出版されて以来、全13巻220万部のロングセラー『おれたち、ともだち!』シリーズの番外編。キツネの愉快な1週間を、発刊当初からの名コンビ・降矢ななさんの絵と共に楽しく描きます。
内田麟太郎さん
1941年大牟田市生まれ。個性的な文体で独自の世界を展開。『さかさまライオン』(絵本にっぽん賞)、『がたごとがたごと』『すやすやタヌキがねていたら』(日本絵本賞)『うそつきのつき』(小学館児童出版文化賞)。詩集『ぼくたちはなく』(三越左千夫少年詩賞)。ほか『十二支のおはなし』、シリーズ作に『ワニぼう』『おれたち、ともだち!』など多数。
人気シリーズの絵本原画の展示をはじめ、絵本の読み聞かせやワークショップなど、子どもたちの心を豊かに育む仕掛けがたくさん!木の温もりあふれる空間で、ゆっくり親子の時間が楽しめます。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、入館制限・休館となる場合があります。お出かけ前に必ずご確認ください。
動物園内の小高い丘に建つ絵本の美術館
絵本の読み聞かせなどが行われる
「ともだちルーム」
絵本原画や作品などが展示される
「えほんギャラリー」
「のんびりホール」は、
見晴らしの良い南向きの休憩室
◆開館時間:9:30~17:00
※入館は閉館1時間前まで◆休館日:毎月第2・4月曜日、年末年始(12/29~1/1)(祝日および振替休日の場合はその翌日)◆入館料:無料※大牟田市動物園の入園料が必要(動物園入園料:大人500円・小中学生100円・未就学児無料)◆住所:福岡県大牟田市若宮町2-1(大牟田市動物園内)◆電話番号:0944-32-8050
取材・文/佐藤理奈
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