幼児期のスポーツとの関わり方、才能の伸ばし方について、『なでしこジャパン』フィジカルコーチも務める早稲田大学スポーツ科学学術院教授 広瀬 統一先生にお話を伺いました。「子どもが習い事をやめたいと言ったらどうしたらいい?」「運動をやりたがらない…」など、スポーツの習い事のよくある悩みQ&Aも必見!
早稲田大学スポーツ科学学術院教授
広瀬 統一先生
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。サッカー女子日本代表のフィジカルコーチなども務める
Contents
「運動能力は親の遺伝」などと昔はよく言われていましたが、近年では競技によって差はあるものの、遺伝だけでなく後天的な影響も大きいと考えられています。
一般的に、運動能力が急激に伸びるのは、神経系の能力が著しく発達する12才くらい。
”ゴールデンエイジ“とも呼ばれますが、この時期までにいろいろな動作や技術を経験しておくと、神経系の急激な変化に身体が対応し、運動神経が一気に伸びるのです。
でもそのためには、ゴールデンエイジの手前である幼児期(プレゴールデンエイジ)に、さまざまな経験をしてきちんとした土台をつくっておくことが大切。
具体的に言うと、一つではなくたくさんの競技や遊びに触れて、いろいろな動きを経験することです。
習いごとに限らず、公園で遊んだり山の中を駆け回ったり、そういう中から、歩く・走る・バランスをとる・投げる・打つなどの動作は自然と身につけられます。
子どもは無限の可能性を秘めているのに、残念ながらその才能の芽を摘んでしまうのはほとんどが大人です。
例えば、「○○ちゃんには難しいかも」というひと言。これは、自分ができなかった経験や記憶を子どもに押し付けているだけ。
子どもはチャレンジする気力を失ってしまいます。どんなときでも「あなたはやればできる」という前向きな言葉が子どもの才能を伸ばします。
また、大人は結果に目を向けがちですが、見るべきはプロセス。
例えば、テストで「100点とってすごいね」と言われて育った子どもは、100点をとれない問題には最初から向き合わなくなることも。
一方、「あれだけ勉強したもんね」「あんなに頑張ったのにね。何が足りなかったのかな?」など行動やプロセスに目を向けてあげると、仮に結果は悪くても失敗が失敗でなくなり、「自分が成長するための過程でしかない」というふうに捉え、常に成長し続けられます。
子どもが持つ無限の可能性を信じて、広い視野でたくさんの経験に触れさせて、いつでも前向きな言葉で向き合いましょう。
活躍したかどうかは大人の主観に過ぎません。大切なのは「チームが勝ってよかったね。あなたはどうだった?」と問いかけ、子ども自身がどう感じているかを引き出すこと。勝利に貢献していなくても、「課題だったあのパスができた」などの気づきがあればそれだけで十分。親に自分の思いを話すうちに、「次はもっとこうしたらいいかな」と自分で気づくこともあります。
幼児期にいろいろな動きを経験させることが、子どもの可能性を伸ばすことにつながるので、準備運動はとても大切。そういう考え方で指導する教室は増えています。
まずは子どもと対話して、やめたい本当の理由に親がきちんと向き合うこと。競技自体は好きだけど、教室で嫌なことがあるのかもしれません。仮に後者で改善が難しいなら、教室を変わればいいだけ。なにかをやり遂げる忍耐力や継続力は、習いごとでなくても家の手伝いや他のことでも身につけられるはず。
運動能力を伸ばすのは競技だけではありません。水泳や体操などの “スポーツ”にとらわれず、山登りや野外活動など、親と一緒にいろいろな体験をさせてあげるといいでしょう。日常の公園遊びも十分運動になります。
取材・文/門司智子
クライミング、スケボー、サーフィン…2020東京オリンピック新競技の習いごと
【名古屋・愛知】金メダリストなど世界で活躍した先生も!五輪種目の習い事
トップページに戻る
掲載の記事・写真・イラスト等すべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます
Copyright © リトルママメディア All rights reserved.